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マルちゃん正麺の「いつのまに」感に俺たちはいつだって恐怖する。いや。していた。

覇道マルちゃん正麺を前にして思い浮かぶ言葉っていうと覇道とかそういうすごそうな言葉ばっかりなんだけれども、いやみんなちょっと思い出してほしい。マルちゃん正麺って昔からあったっけ? ないよね? そうなんよ。 ないんよ。


でもずっと昔からあったかのように、長いことラーメン界のナンバーワンに君臨してましたけれども?なにか?みたいな顔していまこうしてここにいるわけですよマルちゃん正麺。センセーショナルなデビューをしてトップの座を勝ち取ったとか、総選挙でトップアイドルになりましたとか、国民の見えない怒りが髪の毛ふんわりおじさんを大統領に押し上げたとかそういうわかりやすい何かがあったわけではなくいつのまにか普通の顔をしてトップの座に居座っている。



そう。わかりやすい何かがなく、いつのまにかトップの座にいる。


このわからなさがいつだって俺たちを恐怖させるのだ。なぜ、いつのまにトップに? マルちゃん?


でもマルちゃん正麺はトップシェアを誇りまくっているために、お母さんはスーパーでマルちゃん正麺を買ってきてしまう。土曜のお昼、お母さんがマルちゃん正麺をゆでてくれる。そしてそれはまちがいなく美味く、その美味いは美味いもののよくわからない何かが俺たちの体の中に入る。マルちゃん正麺が俺たちの体の細胞ひとつひとつに置き換わっていく。


半年もすれば体の細胞のほとんどは入れ替わる。いつのまにか俺の体はマルちゃん正麺に置き換わっていて、明日のお昼は何にしようかって考えるとマルちゃん正麺のことを思い出している。明日も明後日も来週も来月もマルちゃん正麺を食べたいと考え、マルちゃん正麺を消費するマシーンになっている。


いつのまにかマルちゃん正麺に恐怖することすら忘れている。俺は心から思う。マルちゃん正麺はいつだってお美味しい。いつだって美味しいんだ。
まるでひと玉のゆで麺のような脳が心からそう思っている。